魔術師たちの心理学 / バン・K・タープ

魔術師たちの心理学 ― トレードで生計を立てる秘訣と心構え (ウィザード・ブックシリーズ)

魔術師たちの心理学 ― トレードで生計を立てる秘訣と心構え (ウィザード・ブックシリーズ)

  • 作者: バン・K・タープ,Van K Tharp,上野惠子,萩原重夫,戸張義雄
  • 出版社/メーカー: パンローリング
  • 発売日: 2002/02/28
  • メディア: 単行本
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読み終わりました。個人的には不満の多い本だった。ソレは多分、この本はシステムトレードの勉強を始めるとき、最初に読むべき本だったからだ。かなり網羅的にいろいろな事が書いてある本で、そーゆー点で漏れている所はあまりない。だけど、個別の問題は深く掘り下げているわけじゃないので、コレを読んだら「さあ、すぐシステムを構築しましょう!」とはならない。そこを勘違いしちゃったから不満なんだよなー。
コレを読もうと思ったきっかけは資金管理戦略の最適化をどうするべきか、という課題があって、この本のキーワードとして「ポジションサイジング」ってのが出てたのでそこに期待したんだけど、「トレードにおいて一番大切なのはポジションサイジングです!」以上の話はあまり書いていなかったのでしょんぼり。いくつかの基本モデルを例に示して説明はしていたけど、こちとらそんな話は知っとるよと。それぞれのモデルの最適化の具体的なプロセスについて解説して欲しかった。
あとは、概念の取り扱いがやや乱暴な感じがする。キーワードとしては「期待値」と「R倍数」ってのがあるんだけど、6章での取り扱いはちょっと厳密性を欠いている。システム化するには、基本概念の定義はあいまいであってはならない。他の本の記述と比較したりして、それぞれの概念の意味するところをちゃんと咀嚼して繰り返し確認しないと、なんだかわけがわからないままになってしまいそうだ。
この本が優れているのは「読みやすさ」だと思う。かなりスっと読める。あと、広範囲を網羅した内容なので、ざっとひと舐めしてみるには時間の節約になっていいかもしれない。ただ、この後個別の問題については、それぞれ専門の本を読むべきだ(って事は本の中でドクター・タープも言っていたかな)。まー、\3Kでおつりが来る本の内容としては十分じゃないですかね。