敷金返還の訴え(少額訴訟)>和解 その2

前回の続編。前は経緯と反省点をあげた。今回は自分でやってみてよかったと思う事を書いてみる。あと、消費者相談センターと行政書士に相談して思ったことなど。

やってよかった事

  • 不動産屋・大家さんから連絡があった後、速攻で現場に入って写真を撮らせてもらったこと。ひび割れが問題になっていたので、水をためてから色水をたらして吸い込み具合を連続撮影したのもよかった(これは結局裁判では使わなかったけど、先方が水を溜めて一晩おくとこれぐらい水位が下がるという話をしていたので、ひびからの吸い込みではないことを示す証拠になったと思う)。問題になる前でも、退去の時可能な限り写真を撮った方がいいと思う。
  • 会社で同僚に相談したこと。相談といっても折り入ってという話ではなくて、「いやー、ユニットバス全交換でん十万とかいわれましたよー」って雑談の流れでポロっと話したら「それ支払う必要ないよ!」と言ってくれる人多数。じゃあ、案外私の負担割合を軽減する主張というのは通るのかなと、ちょっとやってみようかという気持ちになった。
  • 入居を決めるときの物件説明の紙をとっておいたこと。賃貸借契約書は当然とってあるんだけど、こっちはどこにも物件の築年数が書いていないという衝撃の事実が発覚! 物件説明書を一緒につけて残していたので建物の築年数が明らかになった。ここは「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の考えを適用するにも築年数というのが大事になってくるので必要。しかし、契約書には物件の築年数が書いてないってのは意外だったな。
  • 専門家の意見をきいたこと。工事費用の見積もりがでた段階で結構な高額である事がわかったので、敷金返還ということでネットであれこれ調べたのと、電話をして相談するというのを結構やった。消費者相談センターもそうだし、確か都の不動産取引にかかわる紛争の相談先もあったと思う。最終的には行政書士さんの所に相談の電話をして、具体的にこちらの主張を整理して内容証明を送ることになった。裁判での主張の根拠になっているは国土交通省が出している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で、これは行政書士の人に教えてもらった。あとはユニットバスそのものの製造メーカーに電話して話を聞いたのもよかったかな。一番モノを知っている所なので、そこから聞き出した話は根拠として有効だと思う。今回はメーカーのラベルに書いてあった英数5桁のコードで製造年が明らかになった。もし築年数が若くても、ユニットバスの製造年が極端に古いようなケースがあるとしたら、この手は有効だと思う。今回は建物の完成時期と1−2年ぐらいのギャップがあったけど、それぐらいは妥当な範囲かな。
  • 賃貸契約書を真剣に読みなおしたこと。いや、「あんたバカですか?」と言われそうな事だけど、けっこうこの手の「契約書」ってお堅い文書は読もうとするとひるむんですよw でもなんとかして読んで、原状回復にかかわる部分なんかを何度も読んで意味を理解。今回の契約書では「経年劣化したものは大家さんもちだよ」と書いてあったので、そこを最初の交渉で主張できたし。何が主張できて、何が主張できないのか。話し合いの出発点を探るのには契約書は一番の基本なので、がんばって読むしかない。
  • 交渉の席の会話を録音したこと。「そこまでやるか?」という気もしたけど、結果的にはよかったと思う。交渉は90分を超える長丁場になったのでどこで何をどう話したか正確に覚えておくのは難しい。後で裁判所に提出する訴状を作るときにも、こっちがどこまで説明しているのか確認するのに役立った。ただ、かなり難しい交渉になったので、この録音したものを聞くのはなかなか強いストレスになった。いや、ホント疲れたよw

消費者相談センターと行政書士に期待していいこと、期待できないこと

最近だと行政書士が活躍するドラマやまんがが流行っていて、何でもしてくれる庶民の味方!みたいなイメージがあるけども、それはあくまでも虚構の中でつくられたイメージ。彼らは法律に照らして文書を作ることはできるけど、スーパーマンではない。今回行政書士に相談にいったわけだけど、その前の段階で消費者相談センター何箇所かに電話で相談して、こーゆー「相談」というのが本当に頼りなく役に立たないと思ったのがきっかけだった。
相談センターってのは文字通り相談をするわけなんだけど、あんまり具体的なアドバイスがもらえなかった。概況を説明して自分はこう考えている、という事を説明して、聞き出せたことは「あなたの主張はもっともだと思います。」が精一杯。たぶん、彼らが得意なのは悪質商法とかクーリングオフとかそっちの分野だからなのかな。問答無用で手続き可能な分野。今回は原状回復に係る交渉ということで、あまり役には立たなかったというのが正直な感想です。
一方の行政書士さんですが、いろいろ状況を説明する紙をもっていって相談したら、こっちはかなり具体的な対応策を出してくれた。ちょと箇条書きにしてみよう。

  1. 賃借人の原状回復については国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という文書が出ていて、浴槽についても残価法で算定するとこのケースだともともとの価値の10%しかない。そこが交渉の出発点。
  2. 上ででてきた武器を使って、ひとまず内容証明郵便を送って様子を見る。それで交渉が成立すれば終了だし、もし交渉が不調に終わったら少額訴訟の手続きに移行すればいい。少額訴訟の手続きは比較的簡単。

こんな感じ。で、内容証明郵便を出してもらったんだけど、「これぐらいだったら自分でも書けたなあ」的な感じ。内容証明って言ってもそんなに仰々しいものではなくて、この文面のものを送ったし受け取ったぜ!ということを証明するという事でしかない。もし、次があるのなら(ないにこしたことはないけどw)お手本もあるわけだし、自分で書いてみようと思う。
で、行政書士さんがやってくれるのはここまで。少額訴訟とはいえ、訴訟の各種手続きは司法書士の領域になるので手が出せないし、やる気もない。大雑把な「こうするんですよー」というのは教えてもらったけど、少額訴訟ということになったらあまり役には立たないです。もちろんお金もかかるしね。私は相談+内容証明発射に¥30Kばかり支払っています。帰ってきた金額を考えるとまあ正直収支は微妙。でも持ち出しになった可能性も考慮に入れるとまあこんなもんか、と思えなくもないぐらい。争っている金額が¥200Kとか、それぐらいだったら¥30Kは妥当かもね。