人月商売の功罪

要件定義カード1枚8万円──脱・人月商売宣言 − @IT

 「人月換算でコストを請求する商習慣こそが、SI業界のさまざまな問題の根源。人月から脱却するには、納得でき、分かりやすい価格体系を提示することだ」(スターロジック代表取締役兼CEO 羽生章洋氏)。

 低コストにできる理由は、ユーザー自ら要件定義を行い仕様を最初に明確にする点と、実装段階で自動生成により生産性を追求していることである。

いかにも人月商売がダメ!ゼッタイ!諸悪の根源! みたいな論調だけど、そうじゃないように思う。上流工程なんてコンサルみたいなもんで、カッチリした期間でカッチリした成果物が出てくる工程じゃない。曖昧模糊としたところから、相談にのりますよ、というものすごく高度なサービスだから高価だし、お客さんも助かると思う。もちろん高価であるだけに、思ったものが出来上がらない時の不満は大きくなるけど・・・ 料金体系をシステム的に整理して、「1枚いくら!」とするとすごくわかりやすいけど、そうして安くなった分は、実際にはお客さんが自分の所の従業員の人件費として負担するってことでしょ? もちろん要件定義なんだからシステム化したいと思っている所がどうしたいのか自覚的である必要はあるけど、そこがうまくできないから、上流サービスに価値が生じる。システム構築サービスを提供する企業の上流サービスに価値があるのは、これまでに培ってきたノウハウがあるからで、発注する側としてもそこに期待するはずだ。発注側にもシステム部門はあるだろうけど、良くも悪くも自分の所のシステムしか開発・保守をしていないんだから、技術や知識の集積量が異なるんだ。

 「従来のシステム開発でコストがかかっていたのは、要件があいまいなために職人技で気配りをしていたため。要件が確定していれば余計な気配りは不要で、自動化の余地が多くなる」(羽生氏)。

本当にそうなんだろうか? きっと顧客自らに要件定義をさせることで、後工程での要件変更をけん制しようという意図があるんだろうけど、それで抑制できるんだろうか? 「やっぱりここはこうしたいよ!」っていうのを汲み取るのも、サービスのひとつだ。それを無償でとか言われると困っちゃうわけだけど。だから、そこの流動的な部分を飲み込むだけののりしろが必要だから、受託開発の場合でもプロジェクト実行計画作成時点でリスク費を積んでおく必要があるし(営業がぎりぎりまでがんばっちゃうと、リスク費ゼロになっちゃったりとかするけどさ。)、できればそのリスクを取りたくないから役務(人月)で受注したい、というのが受注側の気持ちとしてある。発注側は後から気づいた要望を入れる余地があることで、最終的に満足度の高いものができあがる可能性が高まる。

ま、これが人月商売のいいところと、要件定義カード8万円システムのはてな?って感じのところ、かな。

あれだ、要件定義カードで1枚8万円っていうのは、スーツのセミ・オーダーとか、そーゆー種類のサービスなんだ。従来はパッケージを導入するか、↑みたいに人月商売やってるところにお願いするかで、その中間を埋めるサービスというか。システム構築の投資が莫大な金額になるのにうんざりしている所や、今までパッケージを入れてたけど、使い勝手悪くてうんざりなんて所には、アピールするのかも。ま、このサービスを使う企業が、そーゆー理解をしてくれるかどうかは、なんとも言えないですが。

なんとはてな社長日記があった。TBしてみようっと。

ちょっと補足。私は役務と受託だったら、受託の方が好きなので、積極的に受託にでていこうという話には、こう、がんばって欲しいと思う。前にこんなエントリを書いたりしているしw まあ、一方的に「ダメ!」じゃなくて、いい点もありますよ、ということで。

またしても後記入。会社のWebとかみていて、フト気づいたけど、これは一番単価が高いけどリスキーな部分を、ウチはリスクテイクしませんよという宣言なんだ。我々の強みはオープンソースをフル活用した開発生産性で、そこで利益を出すんですと。なるほど。

別のニュースもあったので、URLを残す。
ニュース - 「SI業界の悪習、人月と訣別する」---スターロジックが1タスク8万円の“明朗会計”システム構築を開始:ITpro