陽気なギャングが地球を回す / 伊坂幸太郎

今年に入って最高に面白かった一冊。2年も前の本だけどね! 伊坂幸太郎さんの本は最近よく平積みになってて、「よし!」と思い立って購入。実は最初に読んだのは今年の5月で「ラッシュライフ」が最初の出会いだった。

ラッシュライフ (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)

最初がちょっととっつきにくい感じだったけど、自転車と似たようなモンで、一度その作家の世界へ入って、その世界のルールみたいなものを感じてしまえばあとは簡単だった。でも、一度読み終わっても、納得感は薄くて、日記も書かずじまいだった。

でも、ここにきてどどどっと立て続けに読んではまった。夏休みに入るときに「チルドレン」、終わりごろに「オーデュボンの祈り」、休みが明けてから「陽気なギャングが地球を回す」でもう降参! 「これがミステリか!」と認識を新たにしました。

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

この本を読む快感は、アレだ、ピタゴラ装置のものすごいヤツを見ている感覚に近いと思う。すべての仕掛けが巧妙に絡み合って、小気味いいリズムを刻みながらラストへ向かう。見ている方は、流れるように動く玉だけに目を奪われるけど、実は視界の外で次の見せ場への仕込みが進行していて、それがまた姿を現すと「あああ、そこでコレなのか!」とヒザを打つ感じ。そこの感じも絶妙で、ちょっとカンのいい人なら2−3ページ前からわかっちゃうぐらいの思わせぶりな勿体のつけ方が、読み手の心をくすぐる。そのへんの絶妙感が、今まで読んだ伊坂作品のなかでは最高でした。面白い!

蛇足。作中に「2が1であることの証明」が種明かしつきで出てくるのにはびっくりした。いや、うれしい驚きだったけどねw