期待値について

昨日に引き続き、TBを送ってみる。
期待値(その2) - 株式・投資・バックテストの日々
テーマは期待値。というか、個々のトレードのリターンを、どうやってシステム全体の性能として評価したらいいのか、というお話について。
これ今年の春頃にドクター・タープの本よんで、ものすごく不満だったところなんだよね。改めて当時を振り返ってみる。

更に、利益と損失を$500づつの幅でグループ分けして、そのうえでペイオフを求めている。そして極めつけはスクラッチ(損益なしのトレード)を除くという所なんだけど、だいたい$40に満たない損益を除いてペイオフと期待値を算出している。

このへんの恣意的な操作(としか思えない)が、一体どんな意味があるのか、みんな分かってるのかな? 私はさっぱり理解できませんでした。

・・・なんとなくだけど、元の表は単位が「$」で実際にとったポジションのサイズがどれぐらいだったのかが示されていない。私が自分のシステムの評価をやるときに使う手法は、最初に利益を(この本の200ページで「$」で示されているモノ)取ったポジションのサイズを1とした割合(パーセント)に変換してから算出している。この「$」ベースの表を同じように、元のポジションのサイズに照らしてどの程度の損益だったのかを求める為に、「仮のポジションのサイズ」として最小損失を基準値として使っている、ということなんではないだろうか? だとしたら、なんという誤魔化しだろう! 最初からトレードの結果を「$50儲かった」ではなく「ポジションに照らして5%儲かった」として計上すればこんな誤魔化しをする必要はないんだ。このへんはストリズマンの本*1の方が優れていると思う。

67.4kg - おろかな日々

これなんだよ。ドクターの本は$ベースこれを並べて金額ベースでいくらってはじいたら、そりゃ値ガサ株の方が影響が大きくなるのはあたりまえじゃないか。でも、今知りたいのはシステムが出力するトレードの性能であって、自分にいくら資金があって、どれぐらいのリスクをとるかとは無関係だ。なので、必ず投資額を基準にして個々のトレードのリターンは%で出せ!と主張していて私も全く同意なのがストリズマン。この考えを元に、id:NoShigeさんのトレードの結果を見てみる。

利益       損失      
参入価格 ポジション 撤退価格 利益 参入価格 ポジション 撤退価格 損失
500  2,000  510  20,000  650  2,000  630  -40,000
1,200  800  1,300  80,000  1,000  1,000  950  -50,000
750  1,000  770  20,000  200  5,000  195  -25,000
350  2,000  380  60,000  3,500  300  3,200  -90,000
38,000  30  40,000  60,000  25,000  40  24,500  -20,000
200  5,000  210  50,000            
                      
合計        290,000           -225,000
回数        6          5

これを%ベースで読み替えるとこうなる。

利益       損失      
参入価格 ポジション 撤退価格 利益 参入価格 ポジション 撤退価格 損失
100% N/A 102.00% 2.00% 100% N/A 96.92% -3.08%
100% N/A 108.33% 8.33% 100% N/A 95.00% -5.00%
100% N/A 102.67% 2.67% 100% N/A 97.50% -2.50%
100% N/A 108.57% 8.57% 100% N/A 91.43% -8.57%
100% N/A 105.26% 5.26% 100% N/A 98.00% -2.00%
100% N/A 105.00% 5.00%        
               
合計     31.83%       -21.15%
回数     6       5

トレードの性能はポジションの大きさとは無関係なのでN/Aとしている。このシステムの性能は勝率55%、1トレードあたりの平均損益0.97%、プロフィットファクター1.5。損失のばらつきがやや気にはなるけど、ポジションを持っている期間が5日以内ぐらいだったらいいシステムだ。こんなのを使いたいw

理論的には自分の資金の量が100円だろうが100億だろうが、上の割合で資産の量が変動することになる。もちろん100円で買える株なんてのはナンセンス*1だけどね。でも、「平準化」っていうのはこうゆう事なんじゃない?
もう一歩踏み込んで、最小売買単価の大小で値動きの傾向に偏りがあって、すべての価格帯で同じトレードが成立するとは思えない、という話もあると思う。なら、自分の望む価格帯だけに仕掛けるようにフィルターしてから%ベースで評価すればいいと思う。

で、じゃあ実際の資金を使った売買はどーやって評価するんだよ!というところが資金管理ということになるかと。

あと、まあ、蛇足なんだけども、NoShigeさんのエントリにこんなTBがついていた。なんというか、「ほんとかよwww」という突っ込みを入れたくなる、そんな空気満載。システムトレードを志して、自分で開発しようって思っている人は、他人の言うことを鵜呑みにしない人だと思う。「本当にそうか? 検証してみよう!」その意思がない人は、結局うまく行かなかった時、他人のせいにしか出来ない。そんな人が生き馬の目を抜く市場で、生き残れるんだろうか? 激しく疑問を感じますね。

*1:上場廃止直前でこんな1円2円なんて値になる株はあるけど、それに手を出す人はシステムトレードなんてやらないんじゃない? という思い込みで話を進めます。