自虐の詩 / 業田良家

自虐の詩 上巻

自虐の詩 上巻

1985年の連載なので、もう20年以上前の作品になる。前々から「ラストで泣く!」なんて話は聞いていて気にはしていたんだよね。で、今日たまたま本屋で平積みになっていたので買ってみた。上下買って一気に読みきる。

別に泣きはしなかったけど、複雑な味わいが残った。悪くはないけど、さわやかではない。なんだろう、ふきのとうみたいなほろ苦な感じと、漬物とかの発酵食品の匂いが混じったような、そんな感じ。複雑で味わい深い。読んでよかったと思う。

中学1年の時、熊本さんみたいな子(といっても男子ね)と友だちになったんだけど、そいつの家はホントに熊本さんの家みたいだった。一度遊びに行った時、彼のお母さんが作ってくれた塩味のキャベツだけのたこ焼きが、とてもおいしかったのを覚えている。とか言う私の家も結構なもんで、家族が全員出払っていて私が留守番しているところに裁判所の強制執行が来たり(今にして思えばあの不在は確信的にやってるなw)、風呂のないアパートに家族3人で引っ越したり(20年ぐらい前だったけど、当時でも風呂無しアパートはなかなかシビアな感じでしたよw)、ちょっとここには書けないような事件もあった。私も含めて、そーゆー「熊本さん」や「森田さん」は、実はいっぱい存在している。

うまく表現できないけど、「熊本さん」も「森田さん」も、生きてればいつかいい日も来るんだよ! と、すごく言いたい。そして、「熊本さん」の強さにすごく憧れる。あんな強さが、欲しいと思った。

この本は、いろんな苦しい事件を経験した人の心を打つ。そんな本だ。

で、この作品を原作にして映画が作られていて10月公開らしい。
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森田幸江が中谷美紀とか、アホか。ハリセンボンの細い方だろー。ま、そうすると華はなくなるけどねw それ以外のキャスティングは、まあこんなもん? 学生時代の熊本さんも甘いな。もっと迫力ある子使えよー! 日和るな!
中谷美紀が最後ハッピーになったって当然じゃん! もっと薄幸な人だからラストが光るんだよ。中谷美紀のハッピーエンドなんて見たってさ、誰も励まされたりしないよ。「藤沢さん」なんてハッピーになって当然なんだよ。これは「森田さん」の映画でなきゃいけないんじゃないのか? 
ま、なんだかんだ言って、映画観てくるような気がします。コテンパンに言うにしても、ちゃんと観ないと言えないので。