パーマネント野ばら

前から評判だけはきいていたんだけど、ちらっと本屋をひやかしたら文庫になっていたので買ってみた。よかった。

これが「いいな」と思えたのは、これを読む前に「この世でいちばん大事な「カネ」の話」を読んでいたからだと思う。

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

こちらはエッセイ。西原理恵子さんの幼少期からのカネにまつわるアレコレを綴った一冊だけど、就学前から大学に入るまでのお金のない時期に生活していた社会が、まんま、パーマネント野ばらの舞台そのものと言ってもいい。それぐらい似ているし、その社会を生きてきた経験があるから描けたんだと思う。本当に起こった事ではないけど、本当に感じた気持ちを表現していたのが、パーマネント野ばらだ。

恋というのは生身の人間に起きる現象なんだから、キレイゴトじゃあすまないけど、でも、それでいいんだぜ!という全肯定と、ソレをそのまま受け入れるのが愛だぜ!という、そーゆーものが感じられた。恋をテーマに描かれた作品だけど、その背景にしている世界=我々の社会には貧困、老いや病、死や忘却や嘘が、すぐそばにいつでもあるという事を表現していた。現代の社会はそれを根絶するという夢をお題目にしてそれを目指してきたと思うんだけども、でも、現実としてそれは在る。多くの人の現実を「敵」にして憎むと、なんだかとても疲れるじゃないか。だからどこかで、折り合いをつけて、その現実の中で「花」を見つけたほうがハッピーだと思わないか? そう問われていると思った。私個人の思いだけど、肯定半分否定半分かなー。自分がどうありたいかがまず第一にあって、そこに向かって足掻いた後、どーにもならなければ、しょーがねーな、と受け入れる。それぐらいがちょうどいいんじゃないかなと。

「女性支持率No.1!」と文庫の帯には煽りが書かれていたけど、男性が読んでもナイスな本です。全20話の短い話だし、中身について具体的に触れるのはヤボとも思うので、そこには触れないけど、ひとつ、読み終わって思った事を。

なおこちゃんの思い人になって、彼女の髪をさわりたい。最後にそう思った物語でした。

パーマネント野ばら (新潮文庫)

パーマネント野ばら (新潮文庫)

きっと亡夫の鴨志田氏への気持ちも、この物語には描かれている。本人は照れ隠しに大否定するだろうけど、きっと、そうなんだ。たぶん。