「コドモのコドモ」関連エントリ、ひとまずのまとめ

コドモのコドモ」に関するエントリの続きです。というかひとまずコレで〆る! まとめ!
で、前のエントリではこんな事を書いた。

批判の根拠を私なりにまとめました。掲示板の内容をそのまま書いても冗長だし、意味がちょっと曖昧になったりしそうなので。でも、意図するところは間違っていないと思います。以下箇条書きで。
1. この作品は社会的影響力が大きく目にした少年*1が模倣する可能性が高いので、不良行状を助長する。
2. 内容は公序良俗に反しており、一般の劇場で上映する作品としてふさわしくない。
3. 若年者の妊娠・出産・中絶は母子ともに健康上の危険がある。模倣による被害、悪影響が懸念される。
4. 小学生児童には妊娠・出産する権利は無い。
5. 出産の後の育児の責任があるが作品の中での扱いが小さく、命に対する責任を軽んじている。
6. 内容にはセックスシーンが含まれており、目にした少年の性モラルの低下が懸念される。

掲示板における「コドモのコドモ」に対する批判の根拠を整理・列挙してみた - おろかな日々
けっこう間が開いちゃった事の言い訳だけど、こーゆー話は脊髄反射的に何かを書くと何かと良くない事になったりすると思ったので。まあ、少々熱をさましつつ書いてみます。

では本題。こーゆーエントリを書くきっかけになったのは、「コドモのコドモ」っていう、ショッキングな架空の事件を題材にした作品に対する批判の根拠が「ぜんぜんわからない」という事がきっかけになっている。で、私がわかるに足るだけの根拠があるのか?という事を割りと時間をかけて考えた。その結果、参考になる掲示板から意味合いを抽出して前のエントリを起こした。

前のエントリを起こしながら考え、起こした後もつらつらと考えてみたんだけど「一部わかるけど、多くはわからない。」というのが正直な結論です。それは、上の6つの「根拠」のうちの5つが大きな仮定つきだったり、誤解にもとづいたものだったりするから。
1についてだけど「この作品は社会的影響力が大きく目にした少年*1が模倣する可能性が高い」っていうのはあまりに大きすぎる前提だと思う。でもコレぐらいの前提をつけないと「不良行状を助長する。」とまでは言えない。
2は映倫のお墨付きがある以上、「公序良俗に反する」とまでは言えない。
3については、やっぱり体への負担というのは普通にイメージできるし、単純に心配になる。んだけども、そのリスクを負っているのは虚構の中の人物なので、実害が及ぶとすれば、やはりこれも「この作品は社会的影響力が大きく目にした少年が模倣する可能性が高い」っていう前提が必要になる。
4は明らかな誤解というか、差別主義的な主張じゃないのかな。妊娠出産なんて人権のなかでも生存そのものと同じレベルの自然権に属するものだと思う(違う?)。
6については映画を観ていないので推測になりますが、まず、生々しい表現は映倫がストップするし、原作においてもその筋の人の期待を大きく裏切る描写に留まっているので心配するほどのことは無いと思う。実際映画が公開されてから、そんなに大問題だ!みたいな話は一般のニュースに流れてこない(少なくとも私の耳には入ってこないです)しね。

でも1つだけは理解できる。
5についてだけども、原作読んだときに一番不満だった所で、育児が描かれていなければ、片手落ちに過ぎるよなと。ちょびっとは入っていたけど、それはもうちょびっとなわけで。そこはやっぱり、もっと丁寧に描いて欲しかった。まあ、それだけで商業誌に載せるまんが作品としての価値を作り出せるか?といわれると、それだけの力が足りなかった、という事なんだろうけども。
この点が映画でどうなったのかは観ていないので、これまた推測ですが、尺の問題は原作まんがよりシビアだし、原作に無い部分であえてそこを強調する理由もなさそうなので、多分同じような扱いなんじゃないのかな。

という感じで、まあ、不満は確かにある。なので私が「コドモのコドモ」の批判の根拠として納得できるのは「生んだ後、いきなり10年後かよ!」という点になる。ここはまあ、確かにちょっとねw でもたったこれだけを根拠として「上映中止」を叫ぶのは、ちょっと行きすぎじゃないですか。なんというか、やっぱり説得力がない。私はちょっと苦笑するにとどめておくことにしますw

まあ、「この作品は社会的影響力が大きく目にした少年が模倣する可能性が高い」っていう仮定の有効性をどれ位高く見積もるかで感じ方が大きく変わってきちゃうので、若い世代への信頼感の高低によって映画に対する印象が大きく変わる作品だってことは、言えるかな。

えーと、映画は観にいこうと思ってます。やっぱりコレだけいろいろと考える材料をもらえた作品なので、そーゆー問題提起をしてくれた事への敬意を表して。あとはまあ、作品そのものについて直接モノを言うには、観ないことには始まらない。観てきたら多分、感想書きます。

あー、あと関連で一点。映画の主題歌をなんでか知らんが民夫さんが歌っている。FMつけてると最近良くかかってるんだけど、なかなかの民夫節です。民夫ファンならこれはアリ。

SUNのSON(初回生産限定盤)(DVD付)

SUNのSON(初回生産限定盤)(DVD付)

原作まんがは、もうちょっと陰りがある気がするんだよね。斉藤和義ぐらいのイメージ。逆に、斉藤和義じゃなくて、奥田民夫で、この曲の感じにしてきたというのが、やっぱり映画のイメージはこうだぜ!という事なのかな。ま、そこのギャップがどうなのかを確認するのも楽しみにしておこう。