情と理 -カミソリ参謀回顧録

情と理 -カミソリ参謀回顧録- 上 (講談社+α文庫)

情と理 -カミソリ参謀回顧録- 上 (講談社+α文庫)

昭和の政治家のなかでも、華やかさはないけれど、ビシっと脇を締めたという印象の後藤田さんの回顧録。面白いです。何が面白いかというと、戦後の国家解体という状態から警察組織というものをどう再構築していったかという、解体→再構築というちょっとなかなかないプロセスに立ち会った本人の言葉で、なぜこの制度はこうなっているのか?というあたりに触れられているのが面白い。あと昭和30〜40年代の共産革命スレスレの所まで行っていた時の話しとか。あとはあさま山荘事件のあたりとか個人的に面白かった(今度佐々さんの本も読んでみようかと思ってる)。

いろいろこれまでの経験で思うんだけど、何か、制度でも組織でも立ち上げに参加するってことは本当に得がたい体験で、いろいろなルールや様式なんてのにはそれぞれ理由があるってことを、改めて思い知った感じ。後から続く人は「そーゆーものだ」って割り切りで済ませちゃう事の繰り返しで、元々制度を成立させたときのポリシーなんかがだんだん失われていくものなんだけど、そーゆー状態が今の日本の政府の置かれた状況なんじゃないかな。いろいろなものが形骸化してしまっている。形骸化だけならいいけど、恣意的に目的外利用されている制度とかもあるだろうし… それは「日本の政府」なんて誰のことだかわからない怪物のことでもないし、小泉なんていう個人のことでもない。人そのものの性質なんだとは思うんだけど、んー、なんとかせんとね。

ま、私に出来る事は、自分の仕事をちゃんとやることと、ちゃんと選挙権行使することかな。