エンジニアリングの話と、ビジネスの話を混ぜるとよくわからなくなるよね

はてブ経由で読んであまりにも面白かったので、ちょっと日記に書く。
【公開】第30回IT勉強宴会「最近感じる日本企業のITの問題と展望~「ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国」を読んで」: プログラマの思索
やっべ、はてな記法忘れかけてるww ま、それはいい。
いろんな指摘があるけど、ホントそう思う。ただ、そこはエンジニアリングという範囲での話で、下の部分で、ちょっと思うところがあって、久々の日記書きということにする。

本来はユーザ企業でも内製化したい。
自分たちの業務システムを作りこむことで、自分たちの業務をスピーディに強化できる。
自分多たちの業務システムの技術や運用ノウハウも社外に流出しない。

しかし、自社で内製化しようとするとハードルが高い。
ユーザ企業が若い社員にプログラム開発をさせるが、ある程度育つと設計や運用に回り、プログラム開発しなくなる。
若い社員も、単価の高い設計や管理などに向いてしまう。
プログラム開発の楽しさが伝わらない、など。

皆さんは色々話されていたけど、僕は違う意見を持っている。
おそらく、ユーザ企業に限らず、日本のIT企業はプログラミング技術を軽視している文化があるから、人が育たないのだ。

ここ、ユーザ企業で内製できない理由が、ちょっと歯切れが悪いと思った。私に言わせれば、それは経営の観点で、人件費をシステム部門の為に投下できないからだ。日本の雇用環境ってのは、一度正社員で人を採用するとそう簡単には人を切れない。福利厚生もあるし、マトモな会社なら社会保険の負担とかかなりのコストが毎月かかる。外注すればそこを考えなくていい。これは全くエンジニアリングの問題じゃない。日本における雇用の流動性の問題が根幹にあると思ってる。米国では内製が多いなんてのは、IPAの報告書なんかにも書いてあったと思うけど、それが出来るのはプロジェクトが終わったら、余剰人員はサヨナラって言って、言われたほうもじゃあ次へってさらさらと動く環境だからじゃないかな。日本ではその代わり、外の会社にその時だけの契約で(まあ、実際には保守継続してくれないと困るから付き合いは続くけど)一過性の費用計上だけで済ませる。経営者にとってはありがたい仕組みなんだよ。

その、人を抱えるリスクを負ってでも内製化する事のインセンティブがあるなら、それをやるだろうけど、一般的な企業でそこまでのものはないよね。例えば、銀行、保険会社、鉄道会社、電気事業会社、官公庁。こんなところは、内製化のインセンティブないでしょう。ネット証券やゲーム事業やってるような所で、コンピュータシステムがお金を発生させる原動力なら内製化のインセンティブは強いし、実際そーゆー所は内製多いんじゃないの?

コンピュータシステムが金を生むかどうか。それで内製か外注かがわりとハッキリと割れると思う。これはエンジニアリングじゃなくてビジネスの話。そこのところがもやもやした感じになっていると、良くないなーと思ってちょっと書いてみた。よし、送信!

...さっきの内製化インセンティブが薄いところの例示が一般的とか加筆しておいて一般的でない気がしたので、もうちょっと例えばと書いてみるか。小売りや卸業、飲食店なんかは、「一般的」と言えるんじゃないかな。食品、アパレル、事務用品とか。あと、ちょっと大ぶりな所では、機械なんか。そーゆービジネスにおいて、コンピュータシステムというのは金を生む仕組みじゃない、という事ですよと。
コンピュータシステムとか書いたけど、端的に言えば、事務の道具だからなあ。IBMの社名は、端的にそれを示している。