さよならもいわずに 上野顕太郎

五万節とか、ややマイナーなギャグまんがを描いていた作家さんの作品ですが、ギャグではないです。ギャグ成分も含まれているけど、それが主成分ではない。妻との突然の死別。淡々とそのとき起こったことと心情の吐露が270ページばかり続く。重い。とてつもなく重い。その重さは、愛の重さと同じなんだ。

どんなに愛しいと思う人がいても、いつかは死が二人を分かつ。そんなことは百も承知しているはずなんだが、現実にそうなってしまうと、絶望しか感じられなくなってしまうものなのか。人生の後半を生きる身にとって、示唆に富んだ一冊だった。

さよならもいわずに (ビームコミックス)

さよならもいわずに (ビームコミックス)