母親に対する想いというのは、やはり特別

やや旧聞に属する、という感じではあるけど書いておく。先週のモーニングに掲載された柳沢教授の話を読んでなんだかうまく言えないが、じわーんぐわーんという感じで心が動いたので。
お話そのものは、教授の少年期(えーと、中学生で14−15歳ぐらい?な感じでした)の頃でお母さんが死んでしまった時の話。年下の弟妹はうろたえ、父はわりと冷静、親戚一同は葬儀の内容でモメている。落ち着かないひと時に、お父さんが「まだ母さんとちゃんと話してないだろ」と言って、お母さんと柳沢少年の二人だけの「対話」の時を作ってくれる。この「対話」シーンが、こう、なんともいえずよかった。
「対話」と書いたけど、作品中に描かれた柳沢少年のお母さんに向けた言葉は一言もない。すべてはモノローグ。そして柳沢少年は思い出すんだ。

こんな角度から母さんを見たのは
初めてかもしれない…

いや

僕は見ていた

そして母さんの心臓の音を
聞いていた

そして、少年はお母さんとの対話の時を持つ。その人に寄り添い、手を取った。そうして過ごしたひと時が、恐ろしいほどに美しくて、悲しくて、切なくて、優しいものに見えた。

私の母は幸いなことにボケもせずにまだ北の方で余生を過ごしているけども、いつかその時が、そう遠くない未来にやってくる事も分かっている。そんなちょっとリアリティのある立場からこんなのを見せられると、なんだかじわーんと来ちゃったわけだ。

人は絶対いつか死ぬ。アタマではわかっている。でも、きっとその時が来たら、全く説明不可能な感情に、翻弄されるんだろうな。